「心に思ったことは実現」し、私は3人の認知症の人と知り合いになった。
内心(どうせ実現するなら、もっと素敵なことなら、なお良いのに)と思わないではない(笑)
おそらく見えざる手にも計画や都合があるのだろう。
新たな人との出会いを通じて、私に成長を促しているのであろう。
3人の認知症の方は、日常生活は普通に送っている。
傍から見ただけでは認知症には見えない。
だが、会話を始めると、程なくそれに気がつくことになる。
3人のうち二人は、物忘れが激しい。
ある方は、会う度に私の年齢を尋ねてくる。
二回目までは(あぁたまたま忘れたんだな)と思っていた。
だが、毎回会うと「歳はおいくつ?」と聞いてくる。
私は記憶に定着しやすいように、その方のご家族の年齢が近い方を引き合いにして教えた。
かなり丁寧に工夫して話した。
(これで覚えてもらえるだろう)
私はそう考えた。
だが、甘かった。
その次に会った際に、その方はまたしても年齢を尋ねてきたのだ。
記憶に定着しないようだ。
その方は、私の年齢を忘れてしまったことも、毎回会うたびに私に年齢を尋ねている事も忘れてしまっている。
あぁ、これはご一緒に住むご家族は大変だろうなぁ。
認知症は大変であることが、ほんの少しだけわかった。