不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

TEさんのお通夜にいった。その①

 夕方、町内会の班長さんがわが家に来られた。
 年次総会出席の委任状への署名・捺印集めや連絡
事項がいくつかあった。
 その連絡事項の中には訃報もあった。
「○班のTEさんがお亡くなりになりました」
 班長さんはそう言って式の日時が印刷された紙を手
渡してくれた。
 え~!TEさんが亡くなった?
 本当か?
 紙を見ると亡くなったのは大旦那さんだった。
 大旦那さんは、この1年ほどめっきり老け込んでしま
っていた。
「ちょっと心配だから運転免許は返納したのよ」
 そう奥さんが教えてくれたのは1年ほど前のことだった。
 TEさんの大旦那さんは私の両親の世代の人だから、
結構な年である。
 それでも、免許を返すとなると余程のことである。
 同じくらいの年齢の人たちは普通に運転している。
 私は奥さんとは会って話をするが、大旦那さんとは挨
拶程度しか接触が無かった。
 お宅に伺って、奥さんがおられればそれで用は済む。
 いなければ、大旦那さんが出て来られて不在の旨を
告げられた。
「あ~、いま家内はいないんだけれど・・・」
 そう言われると私は出直す、ということになる。
 よくあるパターンである。
 その短い受け答えがこの1年の間に徐々に変化してい
った。
 最初のうちは私が来れば(あぁ近所の不二家君だね!)
という普通の態度だった。
 それが、段々と頼りないものになっていった。
 半年ほど前には「どちら様ですか?」と尋ねられた。
 私の顔を忘れてしまったようだった。
 これには私は少々ショックだった。
 ひょっとするとこれが認知症というものか。
 否、単に忘れてしまっただけなのか。
 この数ヶ月は顔を合わせても私が誰かがまるでわかっ
ていないようだった。
 そして昨年11月には玄関先で転倒し骨折してしまった。
 それ以来外出することも無くなってしまっていたようだった。
 それでも亡くなってしまったとは急なことである。
 
 ~続く~