特に病気の症状はない。
ただ加齢による身体機能の低下による不調のようだ。
Nさんは若い頃は活力に溢れた人だった。
楽観的で明るい人だった。
今は別人のように老けた容姿となっている。
自身もそうした現状に不満を持っているそうだ。
だが、体のことである。
如何ともし難く、そこに歯がゆさを感じている毎日なの
だそうだ。
「まあ、人間が生まれてきたのは自分が望んで生まれ
てきたわけではないからね」
えぇ!
いきなり直球の発言だなぁ。
私は内心戸惑いつつも相槌を打った。
自分は生まれてきたくて生まれたのではない、というの
は中高生がよく言うことだ。
それもちょっと道に迷っている感じの若人が、自分を理
解できずに吐き捨てる言葉である。
Nさんが、そんなことを言うのか。
良い年をしたオジサンがいうことではないだろう。
これは、どうしたことなのか?
私は平静を装い話を聞いた。
~続く~