(このままでは30代、40代になったらどんどん薄毛に
なっていくかも?)
未来に対する不安、つまり心配である。
心配は養分をどこかから補給し消えること無く続く。
こうなると止まらない。
凡庸な20代の男の私には、その心配を冷静に分析・理
解・検討する能力は持っていなかった。
ただただ脱する術を求めるだけであった。
いろいろやってみた。
その中で力を注いだのは養毛剤の使用である。
当時新成分を配合し話題となっていた。
街頭でカネボウ社員により試供品が配られていた。
私も受け取り使ってみた。
(これは効くかもしれない)
アルコール分によるのか塗布後にスーッとする。
効きそうな特有の香りもする。
嗅いだことの香りである。
この香りに独自性を勝手に嗅ぎ取ってしまった。
試供品を数日で使い終わると、私はすぐに本製品を買いに
行ったのであった。
~続く~