不二家憩希のブログ

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号砲を頼りにお祭りへ。その④

 号砲の音は大きい。
 私は自転車を停めて空を見上げる。
 おぉ、見える。
 青空に花火の白煙が残る。
 もうかなり近くにまで来ているようだ。
 あの辺りに花火を揚げるような場所があるのか?
 そばに神社は無いはずだ。
 もっとも花火は神社の境内で揚げているわけではなか
ろう。
 最寄りの公園・広場等で揚げているのだろう。
 いずれにせよ、私は既にお祭りの町内に入っているよ
うだ。
 それにしては各お宅に、お祭りらしい感じがしない。
 花が無いため、そう感じるようだ。
 「花」とは、お祭りの際に町内のお祭りの担当者から各
戸へ配られる造花のことである。
 当地が含まれる地方では、県境をまたいで普通に飾ら
れる。
 その花を、玄関先に飾るのである。
 造花と言っても特に手の混んだものではない。
 1メートルほどの竹の棒の約半分にピンク色に染めら
れた楕円形の紙が等間隔で何枚も貼られている。
 ピンク色なので桜、もしくはその類の今の季節の花を
意味しているのであろう。
 それだけのものなのだが、見れば花に見える。
 質素な花ではあるが、これは手作りである。
 これを町内連合会の全戸に配るのである。
 準備の段階から大変である。
 だが、私はそれらの過程をよく知らない。
 手作りで町内連合会のどこかで作られているというこ
としか知らない。
 私は自分に要請される作業については、かろうじて知
っているがそれ以外は実に無知なのである。

  ~続く~