た。
「では、慰労会に移りたいと思います」
「乾杯の音頭は氏子総代のHさんにお願いします」
今の氏子総代は当町内のHさんである。
会長は続ける。
「私は会長はこれで終わりですが、総代さんは来年も
う一年の任期があります」
この言葉に場内には笑い声が起こる。
総代さんも笑っている。
氏子総代は名誉ある任務とされている。
大変ではあるがやりがいはある。
当町内だけではなく、町内連合会全体に及ぶ役職で
あり、影響力も大きい。
内心では(自分もやってみたい)と思っている人もおら
れるだろうが、他薦が原則で人望が必要とされる。
当人のやる気があれば原則誰でもなれるという普通
の町内の役職とは違う。
祭式の際にはどんな小さな儀式においても礼服で威
儀を正し出席する。
もちろん各種行事には皆勤が要請される。
任期中はいろいろと拘束されるのだ。
当人のやる気が無いと出来ない役職である。
~続く~