不二家憩希のブログ

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松之助とさんま。その④

 松之助とさんまが、テレビや劇場などで共演する際は、
さんまは早く現場入りし、楽屋前で直立不動で松之助の
到着を待つのだそうだ。
 さんまは松之助の前では決して座らず、傍らで直立不
動で控える。
 この光景は居合わせた人たちには強烈なインパクトを
与える。
 こうした姿勢は松之助とさんまの間では当たり前のこと
なのであるが、周囲の人に松之助に敬意を抱かせる効
果があるそうだ。
 「日本一の人気芸能人が、これほど謙る笑福亭松之助
とは一体どんな人物なのだ」
 皆がそう思う。
 芸人の師弟関係とはそういうものだ、と頭ではわかって
はいても、その場に居合わせるとやはり強く印象づけられ
るようだ。
 その後、松之助の待遇はより丁重なものになる。
 実際松之助は極めて優れた落語家である。
 立川談志に「六代目松鶴と同等の才能がある」と評価さ
れている。
 他人をほとんど褒めない談志にそう言わしめている。
 松鶴と同等とは、どういう意味か。
 それは最高レベルの実力の持ち主ということを意味する。
 松鶴はもう少し長く生きていたら、人間国宝になっていた
に違いない。
 松之助はそれほどの落語家ということである。

 ~続く~