終わったに等しい。
こうした町内会の集金の時にはいつもIさんだけつかま
らない。
他のお宅が集まっているのにIさん宅分が足りずに納金
できずにいる、ということが多いのだ。
私は一気に気楽になった。
次はAクリニックである。
今はクリニックは医師死去により閉院しており、併設されて
いるリハビリだけは継続して開業しているようだ。
Aさんは、前回私が班長だった年には寄付金を出すことを
はっきりと拒絶した。
型通りの説明をすると、奥さんは「強制ですか!」と強く言
い返してきた。
へぇ、何と世間知らずなものの言い方だ、と呆れた。
寄付金と言っても多額ではない。
普通はワンコインである。
5円のお宅もあれば、500円のお宅もある。
いくらにするかは、それぞれのお宅の考え方で判断してい
ただくことになっている。
寄付集めであり、また宗教がらみでもあり、「○○円出して
欲しい」とは言えない。
そこを汲み取っての判断となる。
もちろん拒否しても良い。
だが、経済的に逼迫している家庭ではなく、輸入高級車の
他何台もクルマを保有している医師の奥様が言うことではな
いだろう。
「5円、10円を出さないお医者さんの家」という評判は、早く
広まっていった。
もともとまっすぐなモラルを期待できないような医師とその
奥さんということもあり、しかたがないことなのかもしれなか
った。
その医師が亡くなり、今年はどうだろうか?
また断るのだろうか?
~続く~