不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

クルマに衝突される。その②

 私はすぐに体を起こし、立ち上がった。
 とっさに受け身がとれたらしい。
 極めつけに鈍い私としては上出来である。
 特にどこも打っていない。
 倒れる際に両手の手のひらがアスファルトに押し当て
られて、少し土埃がついただけだった。
 男性は、詫びの言葉を発した。
 そして、飲食店の中に入って行った。
 すぐに女性とともに戻ってきた。
 細君であろうか?
 男性とどういう関係なのか、自分では名乗らない。
 そういうことなのか?
 私は、こういう時は間柄などを尋ねないことにしている。
 いろいろと訳ありだったりすると、面倒だからだ。
 知らなくても良いことは、知らずに済ませよう。
 言わなくても良いことは、言わずに済ませよう。
 様子から、男性はこの店の経営者、女性はその妻の
ようだった。
 男性は私がすぐに立ち上がったのを見て、唖然としてい
るらしい。。
 動転しているのだろうか?
 まぁ、それも無理はない。
 私は、次に倒れている自転車を起こした。
 この場合、運転手の男性か連れ合い?の女性が起こす
ものだろう。
 二人は、呆然としてして突っ立っているだけだった。
 後で考えると、(あぁ、あの人たちは咄嗟に機転の利いた
行動が取れる人ではないのだなぁ)と思った。
 頭の回転の早い人なら、そうしていただろう。
 ただ、しきりに謝罪の言葉を連発している。
 謝る気があるのなら、地面を突いて汚れた手のひらをぬ
ぐうために、おしぼりでも持ってきてほしかった。
 店にいくらでもあるだろう。
 まぁ、いいか。
 二人は、「後で何かあったら連絡下さい。ここで店をやっ
ていますから」と何度も繰り返した。
 逃げるつもりはない、ということだろう。
 それは、良い。
 だったら、おしぼりが欲しかったなぁ。
 私は、自転車に乗り、二人と別れた。
 自転車はなんともないようだった。
 こうしたアクシデントにおいて、いつも不思議な力を感じる。
 私は決して怪我をしないのだ。
 以前もスクーターで走行中に、クルマにぶつけられて転
倒したことがある。
 その時も、無傷だった。
 この生涯において、常にそうだ。
 今回も、そうだった。
 このことについて、記すと長くなるので、またの機会に譲り
たい。
 我が家の朝顔しぶといが、私も結構しぶといようだ。