NHK-FM「クラシックカフェ」でサミュエル・バーバー
作曲の「アニュス・デイ」という曲を聴いた。
この曲は広く知られているバーバーの代名詞的な
曲「弦楽のためのアダージョ」を、バーバー自身が混
成4部合唱曲に編曲したものである。
伴奏無しのアカペラである。
弦楽のためのアダージョは、かなりの有名曲であ
る。
クラシックに特に興味がない人でも(どこかで聴いた
ことがあるなぁ!)と思うであろう曲である。
美しい旋律とハーモニーが、男声と女声によって再
現される。
これはなかなか良いなぁ。
さすが、作曲者自身の編曲である。
この元になった「弦楽のためのアダージョ」は、発表
当初から米国で弔電を打つ際の電話局のBGMに使
われていた。
そのためこの曲を聞くと米国人は「あっ、葬式の曲だ」
と思うようになってしまった。
「弦楽ためのアダージョ」=葬式というお約束が出来
上がってしまった。
作曲者のバーバーは、この評判に憤慨していたらし
い。
「私はそんなことのためにこの曲を作曲したつもりは
ない」と語っていたそうだ。
ここ日本においても「弦楽のためのアダージョ」はテ
レビなどの追悼番組のBGMとして多用されている。
日本でもお悔やみの曲という認識が広く行き渡って
いるのではなかろうか。
この「アニュス・デイ」はアカペラ混声合唱として、オリ
ジナルの弦楽合奏とは、趣が違うように感じる。
作曲者としては、折角の自信曲を生まれ変わらせよう
と、この編曲を施したのではなかろうか。
聞けば聞くほど、この曲は名曲である。
どのような編曲をしても、美しさは減ずることがない。
さすがバーバーである。