私は入浴中で体を洗っていた。
シャンプーのボトルの脇に黒い影が見えた。
ムカデだ。
おのれ、憎き奴め。
体長は10㎝ほどである。
大きさとしては、中くらいか。
全体は黒く頭部に赤い触角がある。
向こうも私の存在に驚いているようだ。
頭部を持ち上げて触角をヒラヒラさせて威嚇する。
フフフ、そんなことで驚く私ではないぞ。
身持ちは悪いが怖くはないのだ。
私も入浴中で丸腰である。
だが、お前も逃げ場は無い。
普通の部屋だとタンスの陰などに逃げ込むことも
できよう。
しかし、ここは風呂場だ。
そんな場所は無い。
ある意味密室である。
しかも、ここにはお前が苦手な水がある。
濡れることを恐れずに、いくらでもぶっかけること
ができる。
さぁ、諦める良い。
私はボディタオルを手に巻き、ムカデに襲いかか
った。
ムカデの頭部にタオルを覆い、奴を摘み上げた。
そして、窓を開け外へ放り投げた。
二度と入ってくるではないぞ。
次に会った時は、命がないものと思え。