一通りの説明が終わった。
わかりにくい説明ではあったが、その内容がとても勝手が良すぎるものであることはよくわかった。
そんな都合よく物事が進めば、苦労はない。
ただ、この祭典長は悪い人ではない。
世間的に言えば間違いなく良い人、善人であろう。
そうした善人が、自分の思い込みに沿って、皆に要望を出す。
当人は良いことをしている、という気持ちしかない。
こういう人は、本当に対処に困る。
出席者からはいくつも質問が出された。
厳しい問いかけばかりである。
あまりに当然な事項がチェックされておらず、穴だらけで予定ばかり先行している。
私のようなぼんやりと聞いていただけの者でも、そう感じたのだから町内会の役員経験者は疑問だらけであろう。
やりとりの末、質問者たちからの提案が採用されることとなった。
思い込みが激しそうな祭典長のプランは、客観性に欠け現実性も乏しい。
結局、次回の集まりまでに祭典長が皆の意向を取り入れて計画を練り直すこととなった。
会は不完全な空気を残したまま、終了となった。
祭典長が熱心な人であることは、よくわかる。
それは全員が承知していることであろう。
それなのに、うまく事が進まないのだ。
マネージメントは難しい。
相当冷えた頭の持ち主でないと、スムーズには回らない。
雨は、まだ降っていた。
冷たく湿った空気が体を包む。
私は傘を差して集会所を出た。