不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

夕暮れの立ち話。

 夕方5時半過ぎ、私は家路に向かっていた。
 自転車をいつものペースで走らせる。
 10月のこの頃になると、日没も随分早くなって
いる。
 日没時時刻は5時半頃である。
 5時を過ぎると、急に暗くなる。
 人の顔が判別できるくらいの明るさしかない。
 私は少しでも近道をしようと、大通りを避け住宅
街の路地をジグザグに進む。
 これがナビタイムで算出された最短コースらしい。
 神社前の道を少し過ぎたところで、若い女性二人
が立ち話をしている。
 それぞれベビーカーを前にし、そこには子供が乗
っている。
 若いお母さんが子供の話をしているようだ。
 「この子は今は〇〇保育園なんですけど、3歳に
なったら〇〇保育園に行かせようと思っているんで
す」
 話し言葉に、当地の方言が入っていないな。
 当地は、強い方言がある土地ではないが、それで
も微妙なアクセントやイントネーションは存在する。
 このお母さんは、どこか余所から当地へ嫁入りした
のだろう。
 転勤ではなさそうだ。
 転勤で来られたのなら、数年先のことまで予定は
立てられないだろう。
 この二人は、おそらく初対面だろう。
 子供のごく基本的な情報をやりとりしている点から
明らかである。
 どちらかが、ベビーカーを見て声をかけたのだろう。
 多くの女性は、コミュニケーション能力に富んでいる。
 未知の土地に移り住んでも、こうして交流の糸口を
簡単に創りだすことができる。
 立派なことである。
 男だとなかなか、こうはいかない。
 それにしても、こんな時間帯に外にいて大丈夫なの
ろうか?
 夕食の支度はどうなっているのか?
 家に姑さんがいて、準備されているのだろうか?
 それとも、これから帰って取りかかるのか?
 いずれにせよ、新しい友情の始まりであろう。
 
 私は二人の横を通り過ぎ、家路を急いだ。