不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ジム・ホール氏、ご逝去。

 米国の偉大なジャズ・ギタリスト・ジム・ホール
がお亡くなりになった。(以下敬称略)
 83歳だった。
 ジェーン夫人によればホールはニューヨークのグリ
ニッジビレッジの自宅アパートでの短い病気の療養
後、睡眠中に亡くなったそうだ。
 来年1月にはブルーノート東京での公演も予定されて
たので、長患いの末の死ということではなさそうであ
る。
 ホールはここ数年めっきり老け込んだように見えた。
 年齢が年齢なので仕方がないとは思ってはいたが
急にお爺さんになってしまったように見えた。
 見た目だけではなく、近年のリーダー作は往時の
勢いや閃きが無くなってしまっているように感じられた。
 それまで駄作を一切発表しない人だっただけに、残
念に思っていた。
 私はジム・ホールのファンである。
 ファンなので余計気になっていたのだ。
 ホールは50年代中盤のジャズ黄金時代から活動を
始めた。
 ホールはキャリアの初期から自己のトリオを持っては
いたものの、若い頃はサイドマンとしての活動が中心
だった。
 チコ・ハミルトン、ジミー・ジュフリーのグループ、エラ・
モンドらと共演した。
 ビル・エバンスとのデュオ作品は名盤との評価が定
着している。
 アート・ファーマーとは双頭コンボを結成した。
 だが、キャリアが長く先に売れていたファーマーがリー
ダーシップを譲らなかったようで早々と解散している。
 ホールがバンド・リーダーとして売れ始めたのは遅く、
自分のリーダー作を普通に出せるようになったのは、キ
ャリア半ば以降のことである。
 ホールは多くの後進のギタリストに多大な影響を与え
ている。
 特にパット・メセニーは、丸パクリに近いほどホールの
作風を取り入れている。
 「あぁ、私はジム・ホールは聞いたことがないなぁ」とい
う方でもメセニーを聞いていれば自動的にホールを聞い
ていることになるのだ。
 繊細にして無尽蔵に続いていくアドリブ・ラインはホー
ルならではのものだった。
 幸いにもホールは沢山の音源を残してくれている。
 これからは、それらの作品を聞いて彼の業績を忍ぶこ
とにしよう。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ジム・ホールの最高傑作と私が推す「Something special」より。
 この盤はピアニスト・オルガニストのラリー・ゴールディングスが
ピアノ専従で参加している。
 ゴールディングスは当時若手オルガン奏者として売れ始めた頃
ピアノを弾くのは極めて珍しかった。
 ベースはスティーヴ・ラスピナでドラム・レス・トリオである。
 全曲ジム・ホールの自作曲で、どの曲もホールのメロディメーカ
ーとしても非凡な才能を知ることができる。
 アルバム・ジャケットも凝っている。
 アメリカのカフェテリアでの様子がマンガで描かれてている。
 店内のボードにアルバム・タイトル、メニューに曲名、窓から見える
店の看板が「Jim Hall」となっている。
 笑えるジャケットである。
 この盤は全曲傑作、名演揃いである。
 是非お聞きください。