私が湯シャンを試みたのには理由がある。
私の頭髪はいずれ波平・モト冬木化することは、
まず間違いない。
これは遺伝の法則により明らかである。
私の親戚筋では男性は最晩年までに、そういう
運命をたどることになることになっている。
波平・モト冬木になることについては覚悟はでき
ている。
だが、そこを何とか先延ばしにしたい。
悪あがきである。
宿命に逆らうとは愚かなことではある。
だが、そこは大目に見ていただきたい。
湯シャンはその方策として取り入れたのである。
髪と頭皮のために良い、という報告を読めば(やっ
てみよう)という気にもなる。
しかも、特に新たな資材を必要としない。
ただシャンプーの使用を止めて髪と頭皮をお湯で
洗う、ということだけである。
私は(大丈夫かな?)という気もあったが、この際
そんなことは言ってはいられない。
人間追い詰められるとたいていのことはやってみる
ようになるらしい。
私は湯シャンをすぐに開始した。
かゆいのは開始後二週間ほどで、すぐにおさまった。
これは意外だった。
毎日シャンプーしなければ、とてももたないだろう、
と思っていたがそうでもなかったのだ。
頭のかゆみさえクリアできれば、あとはなんとかなる。
そう思い私は湯シャンを続けた。
~続く~