屋形の次は幟立てである。
本当にやるのか?
皆さん、現場へ歩いていく。
大風が数時間後には来ることがわかりきっている
のに、何故立てるのか?
これには、お祭り特有の愚かな集団心理が働い
ているようだ。
蛮勇気取りである。
「台風並の天候だろうと俺たちには関係ない。いつ
も通りやるぜ」といったところであろう。
大雨にずぶ濡れになり大風に吹かれながらもお
祭り行事を遂行する。
傘も差さず、合羽も着ない。
行事の中止などとんでもない。
何があっても予定通りに行う。
これが、どうやらカッコいいことになっているらしい。
ワイルドさへの自己陶酔である。
お祭りなので集団行動である。
一団となってワイルドさに酔うことは快感であり、
この心理傾向は一層強化される。
集団熱狂、お祭りバブルである。
ネットでもそうした姿勢を称賛する声がツイッターな
どに幾つも上がっている。
当地の祭りには特にそういう気風が伝統的に受け
継がれている。
「大雨でもいつも通り→さすが○○祭り」である。
あぁ、理解できない。
馬鹿じゃないのか。
私はこういうことが昔から大嫌いである。
愚行にしか思えない。
「やっぱり、マズいんじゃないの?」
作業にとりかかる前、年配の男性がそう役員に問
いかけた。
これは皆が思っていることだろう。
「クレーン車が明日は来てくれないもんで」
役員の答えはこれだけだった。
何とも低レベルの説明である。
それとも判断基準がその一点だけなのだろうか?
よく考えた末の結論なのだろうか?
だとしたら、かなりお粗末な頭脳である。
だが、役員の指示なら仕方ない。
私たちは例年通り幟を立てた。
~続く~