不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

秋葉祭りに参加した。その⑥

 禰宜さんの○さんはお供え物が揃っているのを
確認すると駐車場に向かった。
 そしてすぐに戻ってきた。
 履物を履き替えている。
 草履から沓(くつ)に履き替えてたのだ。
 これは正しくは浅沓(あさぐつ)と言うらしい。
 普通の靴は革であるが、これは木靴である。
 そのため字も違ってくる。
 黒くピカピカに光っている。
 漆塗りだろう。
 これはレアな履物だ。
 量産できない木靴である。
 おそらくオーダーメイドだろう。
 作り置きしても需要が限られているからだ。
 足型を取って彫っていくのではないだろうか。
 しかも漆塗りである。
 幾ら位するのだろう?
 人さまの持ち物を値踏みするとは品がよくない
行為である。
 ちょっと気になる。
 ○さんに尋ねればきっと教えてくれるだろう。
 ○さんは、普段は気さくな近所のおじさんである。
 細かいことにこだわらない人という印象がある。
 その○さんが、儀式の直前まで履かなかった沓
である。
 えぇ~、そんなにするの!というような価格なの
ではなかろうか。
 あるいは価格はともかく受注生産の品なので代
替が簡単に手に入らないのかもしれない。
 貴重品であることは間違いない。
 ○さんはカッポ、カッポと音を立てて歩いてくる。
 見た目だけでなく音も違う。
 普通は聞けない音である。
 こんな音のする履物は他にはない。
 非日常的空間を齎せる音である。
 これで儀式の準備は整った。
 
 ~続く~
 
 浅沓(あさぐつ)について紹介されているブログです。
 岡田宮ブログ 神職道具~浅沓~