不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

P・フォーク~コロンボ警部を生み出す。その26

 ”刑事コロンボ”の収録が始まる前、ピーター・フ
ォークは声をかけられた。
「明日、コロンボが乗るクルマを決めるよ」
 え?コロンボが乗るクルマ?
 フォークはコロンボが乗るクルマまで考えてはい
なかった。
 それに「刑事が乗るクルマなんてパトカーとかに
決まっているんじゃないのか」と思ったそうだ。
 プロデューサーら制作スタッフは、クルマもフォー
クに選ばせることにした。
 翌日、フォークはユニバーサル・スタジオ車両倉
庫に連れて行かれた。
 そこには、撮影で用いられるクルマがずらりと並
んでいた。
 米国映画業界第2位のユニバーサル・スタジオ
である。
 そのラインナップも相当なものである。
 ありとあらゆるクルマがあった。
 フォークは、それらのクルマを見て回ったが、どれ
も気に入らない。
 フォークには、またしても在り来りなクルマに見えた
そうだ。
 そんな時、倉庫の隅に、プジョー403が目に入っ
た。
「これにしよう!」
 へぇ?これにするのか?
 そのプジョーは、普通の実用車でとても敏腕警部
が乗るクルマにはみえなかった。
 ”刑事コロンボ”は劇場映画並みの予算を費やして
作られる大型ドラマである。
 そのドラマの主人公が乗るクルマではないだろう。
 しかも、十分すぎるほど古かった。
 実際、プジョー403は、既に1966年に製造を
終えている。
 ”刑事コロンボ”の放送開始が、71年だから、それ
よりも4年前のことである。
 しかもそのプジョーはタイヤが一輪パンクしていた。
 おそらく、そのまま放置されていたのであろう。
 係も放っておいたか、手が回らなかったに違いない。
 フォークが選んだのはそんなクルマだった。
 スタッフは皆で異議を唱えた。
 だが、フォークはこう言った。
 「大丈夫だよ。視聴者はこのクルマがきっと気に
入るよ」
 そして、フォークの読み通り、その中古のプジョー
は大人気となったのである。
 フォークおそるべしである。
イメージ 1
 
 
 
 
 
 
 
~続く~