ンヌの教室に留まった。
そして、ル・ガリエンヌからニューヨークの”ウィ
リアム・モリス・エージェンシー”への推薦状を書
いてもらった。
このエージェンシーとは何だろうか?
これは、日本で言うところの芸能事務所に近
い。
俳優は、各々エージェントに属し、エージェントが
仕事を探してきて契約を結ぶ。
エージェントは、そのギャラの10%(これは俳
優ユニオンの仕事の場合)、もしくは20%を手数
料として受け取る。
俳優が役を勝ち取るには、当人の人気や才能が
最も重要ではある。
だが、大手のエージェントは、強いコネや交渉力
を持っており大手に所属する方が有利だといえる。
大手のエージェントに所属しているからといって
仕事がホイホイ入ってくる、というものではないが、
弱小エージェントにしか入れてもらえない売れない
俳優の悲哀は、よく映画やテレビドラマに描かれ
たりもする。
登場人物が「あぁ~エージェントは、何をやってい
るんだぁ!」と嘆くシーンは、割とよく見かけるもの
である。
無名の俳優は、まず弱小エージェントに拾っても
らい、そこでキャリアをスタートさせる。
そして、売れると大手に移っていくのである。
こうした移籍は、とてもサバサバしていて、このあ
たりが日本の俳優・タレントと芸能事務所との関係
とはとは大きく異なる。
サッパリ売れなくて持て余している俳優・タレント
は割と簡単に移籍できるが、一定以上売れている
俳優・タレントの場合は、まずできない。
ドル箱は手放さないのだ。
仮に強行移籍すれば”干される”。
こうした違いは日米の慣行や俳優・タレントの業
界内における地位の違いに因るのだろう。
さて、フォークが推薦状を書いてもらったウィリアム・
モリス・エージェンシーは、全米4大エージェンシー
の一つである。
多くの俳優の憧れのエージェントである。
そこに、いきなり推薦してもらえたのである。
これを見ると、ル・ガリエンヌがどれほど高くフォー
クの才能を買っていたかがわかる。
プロと偽って演技教室にもぐり込んだ位なので、そ
れまでのフォーク自身にはコネがあったわけではな
かろう。
ある意味裸一貫である。
フォークは、自分の才能の力によって道を切り開い
て行ったのである。
~続く~