不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク氏ご逝去に寄せて その⑥

 新番組”刑事コロンボ”の主役にふさわしいと
原作者コンビが思い描いていたビング・クロスビ
ーとリー・J・コッブは断念せざるを得なかった。
 この二人の次にようやくピーター・フォークの登
場ということになる。
 原作者コンビは、コロンボ役にどのような俳優
を希望していたのだろうか。
 フォークに至るまでの2人のコロンボ役者と2人
の候補が、存在していた。
 彼らに何か共通点があるのだろうか。
 年齢で見ていこう。
 バート・フリード  1919年11月3日ニューヨーク・ブロンクス
 トーマス・ミッチェル 1892年7月11日ニュージャージー州
 リー・J・コッブ    1919年12月8日ニューヨーク市
 フリードとコッブが、同年生まれで誕生日も一ヶ
ほどしか違わない。
 ミッチェルは何と19世紀生まれである。
 原作者コンビは、コロンボを何歳だと考えていた
のだろうか。
 第一回目のバート・フリード版は1960年制作で、
当時フリードは41歳である。
 この年齢だと中堅の刑事である。
 当初のコロンボの年齢設定は、このくらいだった。
 これが、後のレギュラー化したシリーズの方では
大きく異なっている。
 コロンボの米国での本放送開始が1971年で当時、
クロスビーが68歳、コッブが52歳なのである。
 こちらは、すっかりベテラン刑事である。
 特にクロスビーは、とっくに定年を超えている年齢
ですらある。
 俳優の実年齢と役の年齢とは違うということもある
が、それでもキャスティングには当然考慮されるだろう。
 またドラマの主人公としては高齢である。
 この年齢の開きは、どうして起こったのだろうか?
 それは、舞台でコロンボを演じたミッチェルにある。
 ミッチェルは、当時70歳だったのだ。
 70歳で刑事役である!
 ミッチェルのコロンボは主役を食う名演で各地で大
いに喝采を浴びた。
 その活躍が、埋もれていたコロンボのテレビでの復
活に大きく寄与した。
 そしてシリーズ化における構想段階の設定では「コ
ロンボは定年間近の初老の刑事」となったのだ。
 これはミッチェルの影響に因るものである。
 主人公の年齢設定をも変えてしまったミッチェルの
演技力、おそるべし、である。
 では、年齢の他に何か共通点はないだろうか。
 容姿はどうだろう?
 写真や映像でみるとフリードとコッブは、アメリカ人男
性としては普通の背丈はあるようだ。
 一方、クロスビーとミッチェルは、小柄である。
 クロスビーは、170㎝くらいだろうと推測される。
 これは、アメリカ人男性としては、小さい方である。
「えぇ~、もう少しあるんじゃないの?」と言われるかも
しれない。
 だが、おおよそそんなものである。
 共演者との対比などで、わかるものなのである。
 ちなみに、フランク・シナトラも同じくらいである。
 一般に発表されている俳優やミュージシャンの身長は、
サバを読んでいることが殆どである。
 昔から多くの男性芸能人とプロレスラーは、身長は高
めに申告するのが相場なのだ。
 そして、ミッチェルは、もっと小柄である。
 160㎝なのだ。
 顔は際立った2枚目と言う人は、この中にはいないよ
うに思う。
 容姿においては共通点は無さそうである。
 一見バラバラに見えるこれらの俳優に、一つの大きな
共通点がある。
 それは、圧倒的な演技力である。
 
  ~続く~