不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

出先で穴に気がつく。

 用事先が留守だったので、次にスーパーに行
った。
 買い物カゴを持って店内を歩いていて、何気な
く尻に手を当てた。
 あれ?
 何かちょっと違うな。
 もう少し触ってみる。
 私の指が直接肌に当たっている。
 あぁ、ズボンに穴が空いているのか!?
 指が入るのだから、そういうことなのだ。
 穿いていたのは、生成りとベージュ色の中間の
ような色のカラー・ジーンズである。
 私は自転車によく乗るためか、尻の部分に穴が
空く。
 生地によってはどんな一流ブランドの製品でもそ
うなる。
 少しずつ薄くなっていき、いつの間にか空いてい
るのだ。
 いつの間にか、って確認もしないで穿いているの
か?と言われそうである。
 私は、穿く前に何も見ずに穿いてしまう。
 泥や土でも付いていれば気にもするだろうが、そ
んなことにはならないのでノーチェックである。
 では洗濯が終わった後に見ないのか?というこ
とになるだろうが、それもしない。
 洗濯→清潔、とこれで完結してしまうのである。
 実は出先でズボンに穴があいていることに気が
ついたのは、これが初めてではない。
 もう4回ほど経験済みなのである。
 その時もよく見ずに穿いて出かけ出先でビックリ
する、というパターンであった。
 私は穴に気がつくと急に恥ずかしくなった。
 知らぬが仏とはこのことである。
 私は買い物を済ませ急いで家路についた。
 途中、先程留守だったお宅に寄っていこうかと思
いついた。
 だが、待てよ。
 穴の空いたズボンではまずいではないのか?
 少し考えた末、寄っていくことにした。
 相手にお尻を向けなければ気がつかないだろう。
 いつもの世間話も手短に切り上げて、すぐにお暇
しよう。
 私は、そのお宅に伺うと、すぐに用件を切り出した。
 そして、すぐに挨拶をして帰ろうとした。
 だが、後ろ向いては駄目だ。
 穴がばれてしまう。
 そんなことをしたら「不二家さんが穴の空いたズボ
ンを穿いていてねぇ(笑)」という笑い話が広まってし
まうかもしれない。
 私はそうなることを危惧するわけではないが、これ
以上三枚目のイメージを世間にアピールすることは
憚られる。
 私は背を向けずに後ずさりして、玄関先から離れた。
 そして、視線から外れたあたりで向きを変えて歩き
だした。
 まるで天皇陛下を前にした時の作法のようだった。
 家に着くと、早速ジーンズを脱いで見てみる。
 穴というほどではなかった。
 だが、縦の糸だけ残っていて横糸は磨耗して無く
なっていた。
 それで、その縦糸の間に指が入ったのである。
 あぁ、これでこのジーンズも現役引退か。
 他は何ともないのに実に勿体ない。
 いずれリフォームするか否かは、また考えること
にしよう。