ロジャー・ニコルスは子供の頃から科学に対し
て強い興味を抱いていた。
彼は13歳の時に6インチの天体望遠鏡を自
分で作っている。
また、高校生の時にはテレビを自分で組み立
てて観ていたそうだ。
ニコルスは、その頃から自分が必要とする物は
自分で作ってしまおう、というスタイルだったよう
だ。
頭の中で理論を組み立てるだけではなく、自分
の手を動かして創造してしまっていく。
こうしたニコルスの極めて実践的な態度は、後
のいくつもの発明や改良につながることになる。
ニコルスは、ロシア史上初のデジタル録音を実
現している。
これは、親友ジョン・デンバーのライブ・アルバム
の収録でソ連を訪れた時になされたものである。
ロシアは、録音技術に関して無頓着なお国柄だっ
たのか、1970年代になってもレコードなどのモノ
ラル録音は珍しくはなかった。
レコードはもちろん、公共放送局のクラシック音楽
番組の録音でさえもモノラルが多かった。
録音の質自体は極めて高いのに、モノラル録音だ
ったりする。
私はクラシックの盤を聴いていて、驚いたことが何
度かある。
録音年からし当然ステレオだろうと思っていたが、
盤の記載を確認してみるとMONOとなっているではな
いか。
「何で、その時代なのにモノラル?!」
こうしたことが何度もあった。
ロシアとはそういう国なのだ。
~続く~