今朝、私は冷蔵庫から卵をひとつ取り出した。
生卵で食べるつもりなのだ。
私は卵を右手に持ちテーブルの端に軽く打ち
つけた。
白い殻に一本ひびが入った。
もう一回、今度は少し力を抜いて打ちつけた。
ひびの真ん中当たりに割れ目が出来た。
私は、卵を両手に持ち替えた。
そして、卵を器に空けようとした。
すると卵から白身が飛び出してきた。
白身はテーブルを飛び越え、私の足に着陸し
た。
私は裸足だった。
ぬるっとした冷たい流動体が、すぐに私の体温
と同化して、ただのぬるっとした物体となっていく。
見ると足だけでなく、ズボンの裾にも付いてしま
っている。
床にも落ちている。
「何で白身が飛び出す!?」
私は、今まで生きてきて生卵の白身が飛び出
してきた体験は、これが初めてである。
「う~ん、白身は生きていたのか?」
おそらく、私の力の入れ具合が良くなかったの
だろう。
それにしても、こんなに飛ぶか?
もう何回となく行ってきたことでも、予期せぬこ
とが起きるということか。
卵といえども油断は出来ない。