不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ゲイリー・ムーアと大きな熊のぬいぐるみ。

 昨日、ラジオの「ヘビーメタル・シンジケート」を
聴いた。
 番組の冒頭で、ゲイリー・ムーア氏の訃報が伝
えられた。(以下敬称略)
 この番組はハードロックやヘビーメタルの新譜
情報を中心に放送するもので、ゲイリー・ムーア
番組の大スターの一人でもある。
 パーソナリティーの酒井康はヘビーメタル・ハード
ロック専門誌を発行する出版社の社長で、多くの
トップミュージシャンにも直接会っている。
 酒井はムーアは本当に良い人だった、と語りこん
なエピソードを紹介した。
 ある年の日本でのライブツアーの時のことである。
 ムーアには日本における所属レコード会社である
ビクターの担当者が、ツアーに随行していろいろと
世話をしていた。
 ツアーも無事終わり、担当者は帰国するムーアを
空港で見送りに行った。
 挨拶を交わした後、ムーアは一人で先に歩いて行
ってしまった。
 担当者は、どこに行くのだろう?と思ったそうだ。
 しばらくして、ムーアは大きな熊のぬいぐるみを抱
えて戻って来た。
 そして、その熊のぬいぐるみを担当者に手渡してこ
う言った。
「ほら、ミノル(担当者の名前)。赤ん坊が生まれた
んだろう?」
 ムーアは、こういう気配りの出来る人だったのだ。
 普通、ミュージシャンや芸能人は、こういうことをま
ずしない。
 まして相手がレコード会社の人間であると、より冷
たい対応をする人も多い。
「自分の作品のおかげで稼いでいるのだから」と横
柄な態度をとる人も珍しくない。
 彼らは人から何かしてもらっても、それが当たり前、
もらったらもらいっぱなし、と言う認識しかない種族な
のだ。
 ありがとうの一言で何でも片づくと思っている人が
殆どなのである。
 今回の彼の訃報に際し彼を身近に知る人からは
ゲイリー・ムーアは良い人だった」「繊細な人だった」
というコメントが寄せられている。
 私はこれは故人に対する哀悼の言葉の常套句だ
と思っていた。
 だが、ゲイリー・ムーアは本当に良い人だったよう
だ。
 彼の演奏が聴く人の胸を打つのは、彼のこうした
人柄が大きく作用しているからに違いない。