不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ジージャンをリフォームに出す。その⑤

 私はリフォーム店を出てから次の用事先に向
かった。
 そこで私は気がついた。
 やっぱり、今は10%オフ期間中なので、10
%オフにしてもらえるのではなかろうか?
 しかし、10%オフと言っても840円の10%
なので84円である。
 これは、店に申し出ても良いのではないか?
 だが84円のために引き返すのか。
 それに、結構な大人の男が84円のために戻
って行くというのも、どうかな?とも思ってしまう。
 84円くらいでガタガタ言うなんて、ちょっと男
らしくもないなぁ、とも思えてくる。
 大人物は、これくらいの金額は気にしないと
思う。
 しかし、私は大人物ではない。
 迷うなぁ。
 結局私は引き返すことにした。
 その後に急ぎの用事もないし、言ってみるだけ
言ってみよう。
 それに元はと言えば10%オフということで、こ
の日に頼みに来たのである。
 当初の目的は完遂すべきなのである。
 人間、自分の得になることであれば、どんな理
由でも思いつくものだ。
 私はリフォーム店に戻ることにした。
 店頭には誰もいない。
 銀色の呼び鈴を押すと先程とは違う女性が出
て来た。
 私は引換証を見せてこう言った。
 すみませんが、細かいことを言うようですが、こ
れが10%引きになっていないようなんですが。
 私がそう言うと、受付の女性は引換証を確認した。
「これは、どうも、すみません。すぐに訂正します」
 あぁ、良かった。
 ちょっと恥ずかしかった思いをした甲斐がある。
 これは84円を超えるだけの恥ずかしさがあった
のだ。
 女性は奥に引っ込み、ジージャンを持って来た。
 そして、それに付けてある伝票を取り外し、訂正を
し、レジを打ち直した。
 私は目出度く84円を戻してもらった。
「申し訳ありませんでした。お品物は、こちらですね」
 えぇ?そうですが。
 私がジージャンを確認すると、袖口のリフォームは
すでに終わっていた。
 早いなぁ!
 あれからまだ5~6分しか経っていないのに、もう
出来上がっているとは!
 これは出直して来る手間が省けた。
 リフォームされた袖口を見てみる。
 おぉ、きっちり縫われている。
 しかも、使われている糸が、程よく退色した黄色で
ある。
 元々の他の糸と同じ位の退色具合なのである。
 こんな糸も用意されているのか。
 これならリフォーム箇所が目立つこともなく全体とマ
ッチしている。
 最近は洋服のリフォームも競争が激しいので、細か
いところまで気を使っていることが察せられる。
 
 これで私のジージャンも延命された。
 また今年も私の大事な相棒となってくれるだろう。