不二家憩希のブログ

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「オオカミ少女はいなかった」を読んだ。

「オオカミ少女はいなかった」鈴木光太郎著・
新曜社刊を読んだ。
 この本は世間でよく知られている狼に育て
られた姉妹の話について書かれている。
 1920年、インドで発見されたとされる
その姉妹は野生の狼に育てられた、というも
のである。
 この話は私も子供頃に聞いて知っている。
 学校で聞いた話なのか、一種のびっくり話
として知ったのかは覚えが無い。
 だが、この狼に育てられた姉妹の話は強烈
な印象と共に記憶に残っている。
 この本ではその話が虚偽であることを、著
者による検証によって明らかにしている。
 それらの検証は特に複雑なものではなく、
ごくシンプルなものばかりである。
 そういえば、この話にはおかしな点がいく
つもある。
 私も一つ発見した。
 これはオリジナルの発見である。
 この姉妹の姉は、子供を失ったメスの狼に
よって口にくわえて運び去られた、と言うこ
とになっている。
 ちょっと、待て。
 これではその女の子が連れ去られる現場を
誰かが見ていたということになる。
 そんな状況を見ていたら、誰かが止めるだ
ろう。
 女の子が話したから?
 否、この姉妹は保護されてから数年後に亡
くなってしまうが、それまで40語ほどしか
話せなかったのだ。
 ひょっとして、その母狼が後日事情を告白
したのか?
 そんなムツゴローやドリトル先生じゃある
まいし狼と話が出来るわけがない。
 そして、その妹もまた姉が運び去られてか
ら、数年後に同じ狼に運び去られたと言うの
だ。
 そんなことが偶然に2度も起るわけ無い。

 世の中には多くの虚偽が存在し、私達は
それらに気分よく騙されて生きているのだ、
ということに気付かされる本だった。