不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

オバマ氏を応援した小浜市。

 米国の次期大統領にバラク・オバマ氏が決
まった。
 同盟国といっても他所の国の選挙のことな
ので、日本はその結果を注視するにとどまる
のが普通である。
 だが、狭いようで広い日本にはオバマ氏の
選挙結果を街を挙げて応援していた市がある。
 福井県小浜市である。
 ここは、オバマ氏とつづりも発音も同じで
ある。偶然とは言えこれは結構珍しい。
 それで市民の有志がオバマ氏を勝手に応援
する会を組織し応援をしていたのだ。
 そのいわゆる勝手連民主党の指名候補選
びの頃から応援していた。
 地元の特産品の若狭の塗り箸をオバマ氏に
送ったこともあった。これは昨年のことであ
る。
 米国人に塗り箸を送っても意味が無いよう
にも思えるが、そんなことはお構い無しだ。
 送ってもしばらくの間はオバマ氏側からは
何の返答も無かった。当時、オバマ陣営は民
主党の指名候補争いでヒラリー氏と争ってい
た最中でそれどころではなかったのかもしれ
ない。
 普通だったら贈り物への返事が無いので、
運動も下火になりそうなものだが、そうはな
らなかった。
 特産品を送ったと言っても、それなりにコ
ネクションを通しただろうがほとんど送り付
けに近いものだろう。何しろ相手は次期大統
領候補者である。日本の首相でも簡単にはコ
ンタクトは出来ない存在である。返事が無く
とも仕方が無い。
「特産の箸を送りましたが、オバマ氏からの
返事は未だありません」という少々嘲笑的な
ニュアンスを含んだテレビニュースが何度も
流れた。
 だが、勝手に応援運動は続いた。小浜市
は粘り強い。
 そして小浜市民の熱意が通じたのか、今年
3月にオバマ氏から直筆サイン入りの礼状が
小浜に届いた。
 礼状を紹介する市長は、礼状を指差し「こ
こにバラクのサインがあります」と自慢げに
語った。バラクと呼び捨てしてしまうとはす
でに友達扱いである。
 そして日本のテレビ局がオバマ氏に直撃取
材し「小浜市を知っていますか?」と尋ねた。
 これに対しオバマ氏は「Yes,nice townn!」
と答えた。
 これを、テレビ局が「オバマ氏が初めて小
浜市に言及」と報じた。
 これによって、小浜の応援熱は一気に上昇
した。
 英国BBCや米国CNNやニューヨークタ
イムスも取材にやってきた。
 こういう運動は、大手メディアが取材に来
ると余計に盛り上がる。取材に答えるうちに
陶酔してきてしまうのだ。
 昨日の開票結果を小浜の応援者達は、市の
市食文化館に集まって大型モニターで現地か
らの生中継を見守った。
 近くの土産店では、特設コーナーが設けら
れTシャツやネクタイなどのオバマグッズも
売られていた。それらはどれも日本製で、日
本の勝手連が作製したものだ。つまり、一種
の贋物なのだが、そんなことにもお構い無し
である。
 応援会場では、支持者達がフラダンスを踊
りだしていた。オバマ氏の出身地がハワイだ
からフラダンスを踊って応援してきたのだ。
 実に単純だが分かり易い理屈である。
 そして日本の熱い応援もあってか、オバマ
氏は当選した。
 勝手連のリーダーは「若い人たちもやれば
何でも出来るんだ、ということを信じてやっ
てほしい」とコメントしていた。
 オリンピックのメダリストのようなお言葉
である。
 熱くなり過ぎである。

 日本人は真面目で大人しいという評価が世
界では定着しているようだが、実はそうでも
ない。
 それがたとえ悪乗りだとしても楽しければ
突き進む、という側面がある。
 しかし、そんな状況でも物事には真剣に取
り組んでしまうところは、やっぱり日本人で
ある。