北島選手と決めの言葉。

　北京オリンピックの競泳・平泳ぎの北島選
手が優勝した。
　レース直後、インタビュアーが話を聞いて
いた。
　北島選手は、オリンピック開幕前から優勝
確実と目されていており、その上自分でも金
メダルの獲得を公言していた。
　黙っていても巨大なプレッシャーがかかっ
てくるのはわかっている筈なのに、自分から
火に油を注ぐような発言をしていたというこ
とになる。
　そんな環境下でも勝利したのである。
　かつては、日本人はプレッシャーに弱い、
と長いこと言われてきた。
　この日本人の心理的傾向は、外国から指摘
されてきたのではなく、日本人自身が自嘲気
味に語ってきたことである。
　だが北島選手は、そうした古くからの評価
を覆した、と言ってよいと思う。
　お見事である。
　
　そのレース後のインタビューで、インタビ
ュアーが、決めの言葉を言って欲しくて「今
の気持ちはどうですか？」と尋ねた。
　北島選手は、笑いながら「超気持ちいい」
と答えた。
　お約束である。
　だが、私はこのインタビューを見ていて、
もっと他の事を言えばなぁ、と思った。
「はい、スカッと爽やかです」　と言えば
所属先の日本コカコーラは飛び上がって喜ん
だろう。
　特別ボーナスが出たかもしれない。
　あの場面は、重要なのでカットされること
も無いだろう。
　まぁ、そんなことを考えたのは日本で私だ
けかもしれない。
　200メートルでも優勝したら、是非言って欲
しいものである。