不二家憩希のブログ

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伯父から荷物が送られてきた。その⑤

 米は量ってみると4キロもあった。
 さて次はいよいよにおいの元にたどり着い
たようである。
 このにおいは何処かでかいだことのあるに
おいではあるが、決して日常的なものではな
い。
 普通、物が送られて来て、その荷物からに
おいがする、ということはまず無い。
 人間は日頃体験していないことに会うと、
落ち着かないものである。
 私は他の用事を済ませてから荷を解こうか
と思っていたのだが、においがしていては放
っておくわけには行かない。

 私は荷物の中にもう一紙入っていた緩衝材
として詰められた地方紙を取り出す。
 そこに入っていたのは、味噌だった。
 あ~、このにおいかぁ。
 麹のにおいである。
 昨年の年末にもこの伯父から味噌が送られ
てきたのだが、その時は梱包が上手にされて
おらず味噌が漏れ出していて、段ボール箱
中があわや味噌たまり一色になるところであ
ったのだ。
 私はその旨を、やんわりではあるが伯父に
はがきで伝えておいた。
 今回は、前回の反省もあるのかより厳重に
梱包されていた。
 と言っても、ビニール袋が二重になったく
らいのことである。
 それでも、流出の惨事にはいたらず漏れた
のはにおいだけで済んだのだった。

 この味噌も、伯父の手作りである。
 そして、これまたおいしいのである。
 自家用として作られているので余分なもの
が一切入っていないからだと思う。
 商品として流通しているものは、どうして
も保存性を向上されなければならないので、
いろいろと他のものを加えざるを得ないので
ある。 
 これは、生産者から小売業にたどり着くま
でに日数がかかるし、そこから消費者が購入
するまでにまた日にちがあるからである。
 従って、味噌本来の原材料以外にいろいろ
と加えざるをえない。
 これは仕方が無いことである。

 私が受け取ったこの味噌は、大豆と米と塩と
麹だけで作られている。
 見た目もまるで考慮されていないので、商品
として通用するかは疑問だが、味はとても良い。
「みんなに好評なんだよ」と伯父が話していた
とおりの出来である。
 こちらも量ってみると4.8kgもあった。
 こりゃ当分あるな。

 米を作り、味噌も作り、その他日常の野菜も
作る。
 他にもいろいろ文化活動もしている。
 この伯父は私と違って実にマメで器用なので
ある。

 私は、夜に伯父に電話を入れて礼を言った。
 男同士なので型どおりの挨拶ではあるが、た
まに電話で話すの楽しいものである。