不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「めぐり雛」の策略

 ひな人形の製造販売業者のサイトを見ていた
ら、こんな記述があった。 


 節句人形はお子様の身代わりに災いを祓うお
守りです。この事から節句人形は1人1飾りとさ
れています。お子様のお人形をお揃えになった
ら親御さんのお人形は御礼の気持ちを込めて供
養を行うのが習わしです。
 このお人形の代替りを女の子は「めぐり雛」、
男の子は「新(あらた)の鎧」と申します。通
常は当日の受付のみ承らせて頂いておりますが、
新たにお人形をお揃えになるご家族に限り、い
つでも承ります。下記の人形供養日に誠意をも
ってご祈祷させて頂きます。お気軽に申し付け
下さいませ。  


 めぐり雛?
 そんなの聞いたこと無いな。
 そう思い、「めぐり雛」で検索してみる。
 だが、めぐり雛という言葉を使っているのは
全国でこの業者だけであった。
 この業者は、めぐり雛という行事が古くから
の慣習であるかのように言っているが、これは
この業者のでっち上げに違いない。
 ひな人形などの節句人形は一代限りで、その
子供には新しい人形を与えましょう、というわ
けである。
 何とも分かりやすい販売戦略である。
 この業者は、世の中にこんなことを真に受け
る人がいるとでも思っているのだろうか。

 元々節句人形を飾る風習は、天皇家や貴族階
級から始まり、それを他の社会の人々が真似し
て広まっていった。
 古くからの伝統あるひな人形を持っているそ
ういった家では、由緒ある人形を受け継いでお
り一代限りで買い換えるなどと言うことはして
はいない。
 
 困った商売人は、こういった新たな迷信をひ
ねり出し、何とか人々に浸透させ売り上げを伸
ばそうとしている。
 供養の式では、坊さんも呼ばれお経を読む。
こうすると、何やらそれらしくも見えてくるが、
これも販売キャンペーンの権威付けのための仕
掛けの一つである。
 金さえ受け取れば、どこでもお経を読むとい
う坊さんの節操無さにも呆れてしまう。
 この人形業者は、こうした「新迷信」の普及
により販売増加を狙っているのである。

 今の少子化社会では、ひな人形の売り上げの
伸びも見込めそうにないのは理解できるが、さ
も意味ありげなことを言って人形を売りつけよ
うとする業者の企みにはぞっとしてしまう。
 これは、一種の軽い詐欺ではないだろうか。

 私は、この人形会社の社長に会ったことがあ
るが、いかにもこんな詐欺まがいの新迷信を言
い出しそうな人であった。