不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「ザ・ビートルズ リメンバー」を読んだ。

 クラウス・フォアマン著「ザ・ビートルズ/リメンバー」
プロデュース・センター出版局 刊 を読んだ。
 副題に、親友クラウス・フォアマンが語る本当のビート
ルズ とあるように、この本はビートルズの4人全員と仲
が良かった著者が、ビートルズのレコードデビュー以前に
まで遡って書いたものである。
 著者は、ビートルズがまだ無名でリーゼントに革ジャン、
といういわゆるテディボーイスタイルの頃に出会い、彼ら
がビッグになってからも交流は続き、解散後から現在に至
るまで友人関係にある。
 有名人なら誰しもがそうなのかもしれないが、ビートル
ズにとって、こういう関係の人は少ない。
 有名になる前に付き合っていた人と、超有名人になって
からの付き合う人は、どうしても異なってきてしまうのは、
仕方がないことなのかもしれない。
 ライフスタイルの差は大きな壁として、過去の共通の思
い出を残酷に遮ってしまうのだ。
 だが著者自身もミュージシャンとして後に成功したこと
もあり、その交際は続いたのだと思われる。ジョン・レノ
ンのソロ作品「インスタント・カーマ」にも参加しており、
その際の記述もある。
 数々の注目すべきエピソードの他に加えて何よりもこの
本を際立たせているのは、著者が描いたその時々のビート
ルズのポートレートである。
 これは必見である。どれも当人たちにそっくりなのだ。
 私としては、ここに明かされるエピソードも貴重だと思
うが、これらのモノクロの絵には圧倒されてしまった。
 さすが「リボルバー」のジャッケットを描いた人だけの
ことはある。
 やはり、音楽評論家とかが書く本よりも当事者やその周
囲にいた人の証言の方が信頼もおけるし面白い。
 当事者には変な理屈をこね回す必要が無いからである。

 そしてこの本でもやはり、オノヨーコは付き合いにくい
人のように書かれている。
 評論家だと遠慮をしてそうは書かないのだが、オノヨー
コは難しい人、というのは本当なのかもしれない。
 そしてやっぱり、リンゴ・スター良い人なのだ。
 これも、直接交際のある人は皆が書いていることである。
 事実というものは、決して多数決で決まるものではない。
 だが、多くの人による同一の証言が持つ説得力は、単な
る推測よりも大きな力を持っている。

 この本は、ビートルズについての極めて貴重な目撃証言
集である。

 ところで、昔は著者のことを日本ではクラウス・ブーア
マンと呼んでいたが、今ではフォアマンと呼ぶのだろうか。
 フォアマンだと何かボクシングのチャンピオンみたいで
ある。フォアマンでは別人のように聞こえる。
 私としてはブーアマンの方がしっくりくる。
 彼はファンには馴染みの古い人なのである。