不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ゴキブリに植物物語

 朝、掃除機をかけていると、どうも掃除機から嫌なにお
いがする。
 失敗した料理のようなにおいである。
 今日は金曜日で普通ゴミの日なので、掃除が終わったら
中のゴミを一度片付けることにした。
 掃除機のタンクを引っ張り出して中を見る。
 すると、その中には見覚えのある褐色で流線型のモノが
入っているではないか。
 それはゴキブリであった。しかし、既に絶命している。
 この死せるゴキブリがあの悪臭のもとだったのか。
 私は、それほどゴキブリは嫌いではない。無論好きでも
ないのだが、大騒ぎするほど憎んでもいない。
 数日前からインピレスというホウ酸団子系のゴキブリ駆
除剤を置いていたのでその効果が出たらしい。
 インピレスはよく効く。しかも安いのでゴキブリ駆除に
は最適である。
 それにしても、ゴキブリを吸い込んでいながら気が付か
ないのだから、私の注意力も散漫なものだ。
 そのゴキブリを他のゴミと一緒に市の指定のゴミ袋に入
れて一件落着、と行くはずだったのだが、ゴキブリの怨念
はそうはさせなかった。

 ゴキブリは排除したのだが掃除機のタンクにはにおいが
付いたままで取れていないのだ。
 においつきの掃除機、これでは掃除をする気にもなれな
い。どうにかしてこの憎きにおいを取り除かなければなら
ない。ゴキブリ自体は憎くないのに、悪臭には憎悪の念を
抱くのであるから私も勝手なものである。
 まずは水で流してみよう。と水道の水をかけ流す。だが、
水道の水だけではにおいは取れない。さてどうしよう?
 そこで、ひとつ思いついた。シャンプーで洗ってみよう。
 先日、ヘアブラシをシャンプーで洗ったら、シャンプー
の香りがブラシに移っているのを思い出したのだ。
 植物物語である。これでどうだ。
 シャンプーで掃除機のタンクを洗うとはおかしな感じだ
が悪臭を消すには手段を選んではいられない。
 十分に泡だだててから洗い流した。
 さて、どうだろう。
 ちょっと嗅いでみる。
 消えている。その上シャンプーのにおいも少しする。
 シャンプーがゴキブリに勝利した瞬間である。
 
 本来、人間の体に使うものなので掃除機に使っても良い
だろうと思い起用したシャンプーだったが、思いのほかの
活躍をしてくれたものである。
 植物物語というちょっと大人しい感じの名前だが、さす
がにロングセラー商品だけあって、ゴキブリなどは問題に
しないのであった。
 本来はこういった用途に使用してはいけないかもしれな
いが、悪臭には耐えられない私にはありがたい救い主であ
った。

 人は何に救われるか、その直前まで分からないものである。