不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

過ぎ去った台風と大げさなテレビ中継

 台風が日本列島を通過中の昨日の朝の日本テレビ
ザ・サンデー」の中で、台風の中継があった。
 中継場所は当地からクルマを飛ばして一時間半の距
離にある岬だった。
 リポーターは東京から派遣されたT氏で白のカッパを
着ていた。
 東京のスタジオから徳光氏がT氏に話を向ける。
 T氏は深刻そうに答える。
 画面には岬に激しく打ち付ける波と、朝なのに暗く
灰色の雲が映し出されている・・・。

 だが、本当はこの時間には、台風は当地をとっくに
通過していたのだ。
 風もやみ、雨もすでに降っていなかったのだ。
 東京の番組スタッフは、台風の進路から計算して、
番組時間中に台風の暴風雨の画面を全国に発信したか
ったのだろうが、台風の方もそうはさせん、と足早に
立ち去ったのだった。
 テレビ局も「実は台風はこの地では、もう峠を過ぎ
ておりまして」とは言い出せなかったのだろう。
 こういう災害の場面では、取りあえず深刻そうに振
舞っておけば絵になるのだ。
 岬に打ち付ける波も、地元の人が見れば一目で、普
段と同じ波であることはわかった程度のものだ。スタ
ッフはわざわざ、派手に波しぶきが写る場所にカメラ
を持っていって画面を構成していたのである。
 せっかくレポーターも連れてきちゃったし、ここは
台風が来ている感じで行きましょう、ということなの
だろう。

 テレビの報道番組なんて、こんなものだ。
 新聞も似たようなものだ。
 ニュースだ、報道だ、というと何か特別な価値があ
るもののように取られがちだが、そんな特別な価値な
どそこには無い。

 ニュースほど、虚構に満ちているものは無い。
 人の手によって都合よく加工されて、披露される。
 加工されているのは、食肉だけではないのだ。
 ニュースに真実を求めようとしても無駄である。
 そこにあるのは、パッケージされた憶測と伝聞である。