不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

止まった腕時計と再登板の時計

 出かけてから、少しして腕時計を見てみると、時
計は止まっていた。
 電池切れのようである。家に引き返すのも面倒で
ある。と言って、電池を入れ替えるつもりもない。
家には、止めたままの時計が二つあるからである。
 この止まった時計は、父が生前使っていた物であ
る。いわば遺品なのであるが、「遺品の時計」と言
う何か厳かなニュアンスを感じさせる程の物ではな
い。
 これは父が市内のホームセンターーで買ってきた
カシオの廉価品である。おそらく数千円だったので
はないだろうか。
 父は腕時計をしない人だった。この時計も何かの
都合でどうしても必要になり、仕方なく買ったもの
である。
 家庭菜園で作業をする時にもつけていたので、土
だらけになっていた。
 だが、電池も残っていることだし、私が使うこと
にしたのである。
 それまで使っていた私の時計は電池を止めて、現
在休憩中である。

 さて明日からは別の時計の出番である。
 今度は、母の遺品の時計である。
 これもまたカシオの廉価品である。
「安くて丈夫な時計を買って来て。男物でいいから」
という母の依頼で私が買ってきたものである。
 女物だと見にくいらしい。
 この時計も、主に農作業に行く時に使っていた。
 土がラバーバンドの隙間に入り込んでいる。
 止めておいたのだが、動くだろうか?
 竜頭を元に戻すと、動きだした。
 さすが日本製。さすがカシオ。安い製品でもきっち
り仕事は果たす。
 水をかけて土を落とした。
 少しだけ新しくなったような感じである。
 この時計も、遺品と言う重みは無い。
 重みどころか、黒のラバーバンドは実に軽い。
 スオッチもこんな感じなのだろうか。
 
 高い時計には関心が無い私には丁度良い品である。
 明日からは、この時計が私の冷や汗を吸い取るはめ
になる。