不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

自転車の後輪の交換

 いつもの自転車で目的地に向かったのだが、どうも
後輪の様子がおかしい。
 タイヤを触ってみると柔らかい。空気が漏れている。
 つい先日パンク修理をしたばかりなのに。やはり代
え時なのだろう。ツルツル過ぎたのである。これでは
マットレスの上を走ってもパンクしてしまったかもし
れない。
 さて、どこの自転車屋さんにしようか?
 いつもは家から一番近い店にお願いしていたのだが、
逆方向である。
 そういえば目的地の近くに、気になっていた店があ
る。
 その店は、年に数回、新聞に織り込みチラシを入れ
ている。自転車のチラシといえば、大手スーパーなど
が入れるものが多く、一般の小売店が入れるというこ
とはあまり無い。折込チラシはかなりの経費がかかる
からだ。
 それでもチラシを入れ続けているというのは、どう
いう店なのだろうか。
 何度か店の前を通ったことはあるが、入ったことは
無い。
 私は自転車を押して、その店に向かった。
 
 数分で到着し、自転車と一緒に中に入る。


 市内一の商業地区にあるその店は、小さなビルの一
階にある。
 そこには70歳くらいのおばさんが店番をしていた。
 タイヤを交換してもらいたい旨を告げると、内線電
話で誰か人を呼んだ。
 40代くらいの男性が上の階から降りてきた。
 明らかに、この二人は親子である。容貌は雄弁であ
る。
 男性は、すぐに作業に取り掛かってくれた。
 男性がタイヤを外している間に、おばさんは新品の
タイヤのビニール包装を剥いている。
 言葉を交わさずとも進んでいく。見事な連携である。

 自転車の後輪の交換は、素人には難しい。
 少なくとも私にはそうだ。
 タイヤの交換ぐらいすぐに終わるだろう、と思って
作業を始めたら、4時間もかかってしまった。
 タイヤの交換などと甘く見たのが間違いだった。
 甘く見て、後で苦い思いをする。
 何事もバランスが取れている。

 私は、薦められた椅子に座り、テレビを見ながら待
っていた。
 途中で信用金庫の営業担当が、入って来た。おばさ
んは信金の人と奥で話をしている。ここでも信金の人
は、責められている。
 低金利は人を凶暴にする。

 テレビと店内を互い違いに眺めているうちに、タイ
ヤの交換は終わった。
 さすがにプロは早い。30分かからないのだ。

 代金はは4200円だった。
 私が支払うと、この店では、レシートをくれた。そ
して、
「あっ、レシートで良かったですかね」と言われた。
 頼めば領収書を書いてくれるのか?
 そんな大袈裟な。いいです、いいです。
 
 私は、天気予報の裏をかいた今日の晴天の下を、ゆ
っくりと走り出した。
 ブリジストンのタイヤは、乾いた6月のアスファルト
をしっかりとグリップしてくれる。