耕された田圃に

　田圃の間を南に抜けるその道は、車がやっと二台すれ違うこ
とが出来る幅なのだが、国道の抜け道として地元の人には重宝
されている。
　私は、自転車でその道を走っていく。
　先週までは、レンゲが一面に咲いていた田圃も、今は綺麗に
耕されている。田植えの準備は、少しずつ進んでいる。
　今日も、ホロ付きの白い軽トラックが一台止まっている。
　ひとりの小母さんが、あぜ道で何か手入れをしている。
　世間は連休だが、ここではカレンダーはまるで無力で、高く
上った白い太陽が、この一帯を支配している。

　私が子供の頃は、このあたりには、もっと田圃が多かった。
　経済成長に伴い、田圃が、工場になり、飲食店になっていっ
た。経済の発展が停滞気味の今でも、田圃の減少は止まらない。

　いろいろ事情はあるのは分かっている。
　何しろ田圃や畑は、想像以上に手がかかる。
　高度な政治的判断もあるのだろう。問題は、国際的ですらあ
る。

　経済効率が環境を破壊していく。
　やはり、損得勘定は、諸悪の根源である。