不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

お彼岸の香り

 お彼岸である。
 寺町通りを行くと、お寺から御香が香ってくる。通りに面した家々からも、
線香の香りがしてくる。
 私は、この香りが嫌いではない。どちらかというと、好きである。
 線香もお香も、その価格によって香りの良さが変わってくる。
 やはり、高いものの方が良い香りがする。
 高いお香は、期待にたがわぬ香りがする。
 私は、仏教のみならず、ヒンズー教キリスト教東方正教会の御香も経
験しているが、やはり、香りはその価格に沿ったものになっているようだ。
 ひょっとすると、安いのだけれど、とてもよい香り、というものもあるの
かもしれないが、私の不勉強のせいか、そういったものには行き当たったこ
とはない。
 100円ショップなどで売られている、最も安い価格帯の線香は、煙だけ
で香りはしない。

 私は、近眼で顔も頭も性格も運動神経も悪いが、臭覚と聴覚は良い。
 特に、食に対する節制のためか鼻は恐ろしく良い。これは、生きていくう
上で、良いことなのか、悪いことなのか分からない。
 敏感すぎるたり、鋭敏すぎる感覚は、時にその人に不幸をもたらす。
 気になっても、気にならないふりをしたり、自分で気をそらさなければな
らなかったりもする。
 「臭い」という言葉は、現代の日本では、最大の侮蔑の言葉のひとつとな
っている。
 
 臭っていても、知らぬふり、というのも辛いものだ。

 お彼岸の香りは、気持ちが良い。
 快晴の町並みに漂う香りに、待ち遠しかった春の訪れを感じる。