自転車で家を出る。
大風が吹いている。
私の前進を拒む。
通りを行く人は少ない。
誰ともすれ違わない。
外出の自粛であろう。
あるいは、重要な用事もなく出歩いて新型コロナ肺炎に感染したくはないのだ
ろう。
当地はわかりやすい実利優先の土地柄である。
幸いにも当市は感染者は今日まで一人だけである。
感染者は入院中であり、その行動履歴も公開されている。
立ち寄り先の消毒は終わっており、残留ウィルスは存在しないということにな
る。
それでも新たなウィルスが、どこからか当市に入り込んでいるかもしれない。
そう考えると外出は控えたくなる。
昨日も隣接する市で感染者がまた一人発覚した。
遠い世界の出来事ではない。
家の中で市民はどうしているのだろう?
煽りに近い警告を連発するワイドショー、ニュースショーを見ているのだろう。
陽光は春らしく気持ちの良い天気である。
私はそれを満喫している。
自転車での移動中のささやかな楽しみである。
私は次の用事先へと自転車を走らせた。
今は追い風である。