今週のお題「二十歳」
私が二十歳の頃、私は限りなく愚かだった。
今でもそれほど変わっていないように思うが、それでも二十歳の頃よりは少
しはマシであろう。
二十歳の私は実に愚か者だった。
それなのに当人は自身の愚かさに気がついていなかった。
微塵もそうした自覚はなかった。
”愚かさとは自分以外の誰か他の人のことだ”と思っていた。
私は自分のことを何も知らなかったのだ。
知ろうともしなかったし、その必要も感じていなかった。
その後、日々生きていくにつれて己の愚かさを目の当たりにすることとなっ
た。
頭で考えているだけでは把握できない愚かさが、実体験として展開していっ
たのだ。
私はそれらの事態の目撃者であり当事者だった。
これは身にしみる。
痛い目にあうということである。
痛みは大いに自覚を促す。
眠っているのに目覚めていると勘違いしていた自分に冷水、時には熱湯が浴び
せられる。
そして、やっと遅ればせながら目を覚ますこととなる。
違う風景が見えてくる。
それまでと同じ世界であるはずなのに、まるで違う。
そこに広がるのは、あるがままのこの世であった。
穏やか平穏だけでは、人は眠ったままなのだと言うことも知るに至る。
私が二十歳だった当時、周囲の人達は(こいつは幼稚な奴だなぁ)と感じていら
れたに違いない。
心からお詫びしたい。