これにまつわる話がある。
遡ること約1週間前、私は町の電気店で商品の注文と
会計を済ませて帰宅した。
我が家の冷蔵庫はもう何年も前から不調であった。
キッチリとした方なら、その時点ですぐに修理もしくは
新しいものを手配するだろう。
だが、私はそうはせず、そのまま使っていた。
買い替えに当たって面倒なことがあるからである。
その面倒から先延ばしにしていたのだ。
それについては別の機会に記すとする。
我が家の冷蔵は冷却能力が著しく弱くなっており、完全
に作動しなくなるのは時間の問題であった。
私は新しい冷蔵庫の手配が済み帰宅した。
(この冷蔵庫とも後少しでお別れだな)とそう思って扉を
開けた。
あれ?
直っている。
弱かった冷却能力が復元している。
これはどういうことだ?
ははぁ~ん、そういうことか。
私が新しい冷蔵庫を買い、自分つまりこの古冷蔵庫が
廃棄されることを察知したのだろう。
粗大ごみにされてはたまらない。
それで「まだ使えます、動きます」とアピールをしている
のだな。
そんな童話みたいなことがあるのか?
だが、本当にそうなったのだ。
偶然かもしれない。
あるいは物に魂がこもってそうなったのかもしれない。
どちらにせよ、ちょっとコントみたいである。
その冷蔵庫は最期になって普通に動くようになったが、
結局は訴えも虚しく新品と入れ替えとなった。
これも運命である。