終わるとすぐに片付けが始まる。
余韻を感じているヒマはない。
つい数秒前まで神妙な表情で拝礼を繰り返していた参列
者が、何もなかったかのように片付けに取り掛かる。
これはこれで面白い。
こういうあっさりとした感覚は嫌いではない。
神前に設置されていた祭壇を片付ける、提灯を片付ける、
神具いれのケースを運び出す等々いろいろである。
中でもメインは幟倒しである。
これには大人数が取り掛からければ出来ない。
かろうじて人力だけで倒すことができるが人手は要るのだ。
棒を引っ張って固定していたロープを外し手で持って引い
て少しずつ倒していく。
狭い路地道での作業なので隣接する家屋や庭の垣根に当
たらないように、倒し方をコントロールする。
そろそろと倒して折りたたみ椅子を台にして、そこに横たえ
る。
そして棒から幟を抜き取っていく。
空模様はどうだろうか?
「雨が降らないといいが」という声が上がる。
濡れるとその後の手入れが面倒なのだ。
例年以上に作業の進捗速度が早い。
降り出す前に終えよう、である。
~続く~