走り始めてすぐのことである。
道にたくさんのクルマが停まっている。
何だ、これは?
駐車されたクルマの列はSさんのお宅の前まで続いて
いる。
Sさんのお宅の庭の芝生の上にまでクルマが停められ
ている。
あぁ、Sさんの旦那さんの49日か。
もうそんなになるのか。
それにしても、このクルマの数は多いな。
49日の参列者が乗ってきたものだろう。
通夜・告別式は、家族葬ということで参列者は限定され
少なかった。
だが、この49日には結構な人がお越しのようだ。
これだと、普通の通夜・告別式と同じ規模である。
となると、家族葬って何だろう?
近い親族は来ても良いけれど、近所の住民や仕事の関
係者、友人はご遠慮いただきます、ということなのか?
あるいは、通夜・告別式は家族葬だったけれど、49日は
普通規模で行うことにしたということなのか?
なんだかわからなくなってきたなぁ。
冠婚葬祭の行事は伝統、作法が重要と言われはする。
だが、結局はその時の都合が優先される。
私は、それで良いと思う。
それにしても弔事は、難しいなぁ。
私はSさん宅を囲むかのように停められたクルマの列を
横目に自転車を走らせた。