(以下敬称略)
彼女の力量を知る者としては「やっと」「ようやく」という感
が強い。
もっと早くに出場していても良い歌手である。
10年、否、20年遅い。
市川本人は、もっと早く出たかったことだろう。
紅白の演歌枠は広いようで狭い。
常連が殆どで、新人が入って来る余地が極めて少ない。
今回の市川の初出場は、女性演歌歌手の初出場として
は、水森かおり以来の13年ぶりとなる。
13年!
13年も新しい歌手が出られなかったのである。
異常なことではあるが、それがこれまでの紅白歌合戦の
演歌枠なのだった。
市川はデビュー前からその高い歌唱力を認められており、
すぐにスターになるものと思われていた。
だが、そこは演歌の世界である。
「歌がうまい」→「売れっ子」とはならない。
歌がうまい演歌歌手など、いくらでもいる。
市川は、埋もれはしなかったが、浮上もできなかった。
まるっきりの無名ではないが、売れてもいない、という状況
が続いた。
そして、デビュー23年にして紅白出場である。
市川は傑出した才能の持ち主である。
完璧なその歌唱力は、世界的に見てもトップに位置する。
「これ以上には上手には歌えない」というレベルにある。