不二家憩希のブログ

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ヒゲソリ修行。その①

 私は、今年の5月から10月末まで、カミソリでのヒゲソ
リを行っていた。
 5月のある日、私は急に「カミソリで剃ってみよう」とい
う気になった。
 我が家には使い捨てのT字カミソリが大量にあった。
 伯父の形見分けの品のひとつとして父が貰ってきた
ものだった。
 伯父は、化粧品やそれに類する小間物の卸商をして
いた。
 ごく小さな商いだった。
 父がもらってきて以降、誰もそのカミソリを使う者はな
かった。
 シェーバーを使うので、必要なかったのだ。
 ある時、私が掃除をしていたところ、そのカミソリが入
った箱を見つけた。
 青くメーカー名とカミソリのイラストが印字された大箱
である。
 おそらくこれが最小出荷単位だったのだろう。
 中にはカミソリが五本一括りになったものが、40セット
入っていた。
 計200本である。
 これは、たくさんである。
 とても一人では使い切れない。
 私は知人やご近所の方に「カミソリはいりませんか?」
とこえをかけることにした。
 カミソリを人に差し上げる、これは何やら失礼なこと
になるのだろうか?
 私が知らないだけで、そういうことがあるかもしれない。
 仮に後で揉めると厄介なので、声をかけるのは簡単
にフォーローが効く間柄の方に限定した。
 範囲を狭めたせいか、もらってくれる人は、現れなか
った。
 となると、自分で使うしかあるまい。
 私のカミソリでのヒゲソリは、こうして始まることとなった。
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                                                                         ~続く~