午前10時過ぎ、わが家の遠くからセミの声が聞こ
えてきた。
セミ?
当地ではもう終わったはずだが。
そう思って耳を澄ます。
ツクツクボウシだ。
かなり離れていて、かすかに聞こえる程度である。
まだ健在だったのか。
この度の台風前に鳴いているのが確認したが、あ
のセミなのだろうか?
2日ほどはさすがに台風の荒れ模様で、セミが鳴
くような環境ではなかった。
あのまま、それっきり、と思っていた。
それから、30分後、再びセミの鳴き声が聞こえ始
めた。
今度はわが家か、お隣当たりだろう。
とても近くである。
「ツクツクボーシ」
きれいに2コーラスほど鳴いてくれた。
実は(もっと近くで聞いてみたいな)と思っていた
のだ。
内心の希望をかなえてくれたのか、それとも偶然
か。
いずれにせよ、嬉しい声の便りである。
夏は終わり、9月もちょうど真ん中の15日である。
間違いなく秋である。
そこにツクツクボウシである。
これはこれで趣がある。