不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

圧殺。

 私は数分間、パソコンの前で瞑目していた。
 左のまぶたにチクッと刺された感覚がした。
 これは、蚊か?
 そう言えばさっき飛んでいた奴か。
 その時は行方を目で追ったのだが、見失ってしま
っていたのだ。
 だが、まさかまぶたを刺すか?
 そんなことを考えていると、今度は右のこめかみ
に同様の刺激があった。
 私は平手で叩く。
 素早くはあるが、手加減している。
 自分の顔面を全力で猛打する度胸はないのだ。
 捕獲失敗だ。
 少しずつかゆくなってくる。
 おのれ、蚊め。
 許さん。
 血を吸うだけならまだしも、かゆくしていく嫌がらせ
には容赦できぬ。
 死をもって償ってもらおう。
 私は皮膚感覚に注意を凝らす。
 すると右の上腕部の裏側に刺された感覚がする。
 私は左手で叩く。
 やった。
 捕獲成功だ。
 捕獲と同時に圧殺である。
 猶予無しの即時殺害である。
 哀れな奴め。
 私は蚊とネズミには冷酷なのだ。
 その後私のまぶたは、少し腫れたが、すぐに元通り
になった。
 蚊なんぞには負けてはおれぬ。
 悪魔の使いめ、いつでも来い。
 皆殺しを覚悟するがよい。