不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ボサノバのホリディ。

 私はネット・ラジオを聞いていた。
 女性歌手の歌である。
 これはボサノバか。
 それも割と最近の音に聞こえる。
 ゆったりとした演奏をバックに聞き覚えのある声が
流れていく。
 だが、この歌手は、もう随分前に亡くなっている。
 それに、ボサノバのような音楽は歌ったことはない
はずだ。
 だが、どう聞いてもあの歌手の声だ。
 フレーズを引っ張る特有の歌い方である。
 「これは一体誰だ?」
 調べてみる。
 ビリー・ホリディだ。
 やっぱり、そうか。
 となると、この録音はどうなっているのか?
 ホリディのかつての録音からデジタル技術によりホ
リディの声だけ取り出す。
 その声に合わせてアレンジを施し、現役のミュージ
シャンがバックをつける。
 歌が先にあって録音は後録りということである。
 それをレコーディングをする、という企画だそうだ。
 ビリー・ホリディの時代には、ボサノバは存在してい
なかった。
 ホリディにボサノバを歌わせる、というのは面白い試
みだとは思う。
  仮にホリディが現代に生きていても一流の歌手とし
て活躍したであろうことは、この録音で確認できる。
 しかし、バックが変わろうともビリー・ホリディはビリー・
ホリディである。
 あの粘りつくような歌唱法は同じである。
 怨念タップリのドロドロ唱法である。
 湿度タップリのジメジメ音楽である。
 私は苦手である。