亡くなったご近所のIさんは、今思うととても尊敬
できる人だった。
普段はあまりにも身近なので、そういう風にとら
えたことが無かった。
だが、亡くなられていろいろと思い起こしてみる。
すると、(偉い人だったなぁ)ということがわかって
くる。
近くにいると、かえってよくわからないことも多くな
ってしまうというもある。
存在のありがたみがわからないのだ。
自分に幅広い人脈があるのに、そういったことは
一切ひけらかすことが無かった。
当町内にも顔が広いことで知られている人は、何
人かいる。
そういう人は意識的か無意識的なのか、自信の顔
の広さを他者に対して威圧的に用いるような雰囲気
も併せ持っている。
残念なことなのだが、そういう人が多い。
Iさんは、例外的な存在だった。
私と話をする時には、あくまでも「近所のおじさん」
だった。
気取りのない普通のおじさんだった。
亡くなって寂しい。
だが、これも人が生きていく上で避けられないこと
である。
そして人は皆同じ道を歩んでいるのである。