Iさんのお通夜に行く。
会場に行く前に、いつものスーパーに寄る。
普通は直行するのかもしれない。
だが、方向が同じなのでそこは多めに見ていただ
くことにしよう。
夕方なので、タイムサービスが行われていた。
私は少し買い物をして、会場に向かう。
開始は6時ちょうどである。
自転車で5分ほど走って会場に着いた。
時刻は開始30分前の5時半である。
既に4割ほどの席が埋まっていた。
皆さん、出足が早いな。
Iさんは、町内の古顔で禰宜でもあったので顔は広
いのだろう。
開式10分前には、席が完全に埋まってしまった。
おぉ、これは珍しい。
大体少しは空席があるものだが、それがひとつもな
い。
式は、もちろん神式である。
後方から二人の禰宜さんが登場する。
薄水色の衣冠束帯である。
う~ん、神式は格調が高いなぁ。
堂々と祭文が読み上げられていく。
合間合間には、雅楽のBGMが流される。
テープかCDだろう。
正式には生の奏者が奏するのだろうが、このあたり
に奏者がいるとは思えない。
音源再生でも十分役目を果たしているように思える。
BGM付きとは、なかなか現代的である。
祭文を聴く。
意味が大体わかるので、式次第の流れもわかる。
かなり直接的な表現が多いように感じる。
変にオブラートに包まないのも好感が持てる。
仏式の焼香にほぼ相当する献米が始まったのが開
始27分後だった。
仏式だったら、通夜全体が終わっている時間帯である。
次々と立ち上がって献米に向かう。
う~ん、これは焼香の真似ではないのか?
アクションも、ほぼ同じである。
着席者の献米が終わった。
席が無かった人、着席できなかった人の献米に移る。
うわぁ、結構いるなぁ。
正確に数えたわけではないが、200人ほどいそうであ
る。
これだけの人数が会場の後方で、立っておられたのか。
スペースがないのでギュウ詰めであっただろう。
私はこんなに参列者が多い通夜は、初めてだ。
神道なので通夜祭と呼ぶべきか。
いずれにせよ、かなりの大人数である。
Iさんの人望と巨大な交際範囲が伺える。
市会議員に出ようと思えば当選確実だっただろう。
だが、そんなことをしたがるような人ではなかった。
私にとっては、ご近所のおじさんだったが、交際範囲の広
さは尋常ではなかったようだ。
式が終わったのは開始後55分後だった。
仏式の約2倍である。
私が子供の頃からの「近所のおじさん」がまた一人亡く
なってしまった。
寂しさが積み重なっていく。
これも人生である。