自転車での用事先からの帰り道のことである。
私はある作業所の前を通りすぎようとしていた。
そこは、間口15メートルほどを開けて作業している。
空調がかけられない作業内容のようでほぼ一年中
開いている。
作業所は人が忙しそうに出入りしている。
ふと見ると、その作業所の前に黒猫が座っている。
先日当ブログで記事にした路上生活猫である。
その作業所はTEさんのお宅から20メートルほどのと
ころにある。
猫の生活範囲としては十分エリア内である。
ここもこの黒猫の縄張りなのだろうか。
ゆったりと座り込んでいる。
どんと構えて動こうとしない。
人が忙しく出入りしていても避けようともしない。
我関せずと座っている。
また、そうした態度の黒猫を従業員は誰も追い払お
うともしない。
居て当たり前といった様子である。
この黒猫は、ここの飼い猫なのか?
否、それはないだろう。
ここは作業所だけで、人は住んでいない。
作業所に猫を連れて出勤している人がいるとは考え
られない。
路上生活猫であることは間違いないだろう。
だが、この黒猫に接している人は誰一人この黒猫を
疎んじていないように見える。
堂々たる態度は人を、少しも恐れていないことによる
のだろう。
その恰幅の良い太った体格からはすると餌もたっぷり
もらっているようだ。
おそらく、この作業所でも「ニャァ~」と鳴いて愛想良く
しているのだろう。
そうされると、無下に追い払うこともしにくい。
この黒猫は世渡りの術を知っているかのようである。
あぁ、人間も愛想良くしていた方が得になることが多い
なぁ。
この黒猫は、それを自ら学びとっているということなのか?
恐るべし、黒猫である。
私はこの黒猫に教わることは他にもいろいろあるのかも
しれない。
私はその黒猫を眺めながら作業所を通りすぎて行った。